八力を東南に逞ふするものは、蓋しスヲーブ人の本性にして露の國是鞏固秡くべからさるものありて存すれはなり、露國人口一億三千萬中、主人公たるスラーブは八千萬に過きず、其他は芬蘭、土耳古、猶太、ポーランド、等亡國敗國の諸民、六十餘色に屬し、中露の新事業は多く客民の手に歸し、保護貿易の利益は其大半亦客民の利潤に歸せり、スラーブ人か從來の仆野なる習俗を墨守し、農牧に從かひ固く國〓に遵律して、屯戎兵役に勤勞せる者は、客民の生存競爭に依り、一種の推移を促かし、交通機關普及して、諸種の新思想を齎らし來り、或は秘密結社となり、或は秘密出版となり、或は窮民の鋒起となり、漸次コラス帝家千年の謀を立つるに於て歐露の地區に永遠其專政の治道を敷くを期し難きを以て强大なる侵畧策に依りて其人心の破掟を防止しつゝあるものゝ如し、始め露人の南方を策するや、二百年來スラーブ人南向の勢を利し、〓國の敗亡に近けるを窺かひ、先つ黑龍を得、樺太を取り、而して浦汐の開港を企だて、其將さに成らんとするに及んで廿七八年役あり卽ち我遼陽を橫奪し旅大の要港を取り、大に海陸の軍備を圖り今や、殆んと其功を就せり、鳴呼平和聲言の下、海陸の大軍を以て人の國を取り民を屠り、自ら飽く事を知らす、露國國是の實行に向つては、其衝に當るもの之れを未前に察せさるべからす、不幸にして〓國の敗裂を以てし順治帝船廠の地亦た故蹟となり、嘉慶諸臣の苦衷前史に歸し、露軍の屯營、〓祖宗廟の地を超へて畿甸の外に臨めり、而して韓の貧弱、鴨頭綠水の流は鐵鐵の涉るを防き難く、斧斤長白山に入り虎豹逆さまに人間の地に逃れんとす、我か內閣諸公何の謀ありて此の衝に當らんとするか、諸公將さに云はん外交の秘密九