十は洩らすべらず平和は文明の假面なり、露〓の交渉は他の△逕ちに嘴を容るゝを許ささる所。政府は常に〓國に忠告を怠たらずと吾徒は諸公の此種の言下に露國東方の軍備益ます充實して我國内の弊政漸く其極に陷り上下の元氣文明の奢觀に衰頽し、經濟の更に窮苦に赴むくを見て手を曠ふして待つに忍ひさる也、彼れの滿州經營は巧みに漁夫の利を取れるなり、我が君民上下一意國力を彈して海陸の兵備を就せしは何の爲めそや、三十年來の我が屈辱を酬ゆるの深旨に外ならす、君民上下箇の屈辱を酬ゆるが爲めに一國の精を萃め、大敵頑蠻を伐つ、得失勝敗の數素より察せさるべからす、乃ち既往を顧みれは、好機屢ば至りて而して又た屢は之れを逸し、其口を左右に托して、天下の非難を避けしは當路の蒙なり當路の蒙は敵國をして、遂に十分なる軍備をなさしめにき今日彼我の優劣諸公旣に算あらん、今日を逸せは明日彼我の優劣も亦た諸公自ら算あらん、大敵をして猶ほ十分なる軍備をなすの時日を與へ、而して孤島の一國を以て之れに當るを期するは、蓋し是れ文明の廟算歟、吾徒は素より之れを肯するの勇なきなり、翻りて之れを考ふ多年の屈辱を酬ゆるか爲めに妄りに軍旅を起こすは、一國を全ふする所以にあらず、倫し之れを忍んて皇國を全ふするを得んとなれば、吾徒は猶ほ數層の屈辱を重ね受くるも克く之れを忍ふを甘せん、然れとも露人南下の漸勢は東洋百年の平和皇國建立の安固を許すか、露人は日本帝國あるが爲めに其南下の進渉を縱橫ならしむる能はす、故に露人東方の軍備は我れを殪すに足るを以て就れりとせるなり、始め露人の西比刺亞の境を定むるや、直ちに兵を進めて黑十一