二十し、其の必勝の數を收めて我れに當り、我れをして分厘も大陸に手を染むるを許ささるに至る數年を出てざる可し此の時に至らは我が兵備と國力とは甚たしく間隔し、勝を萬一に期するも昨夢に歸せん諸公にして倫し今日の期を逸し千年の悔を遺さは諸公は終に我四千五百萬同胞と二千五百年の宗廟を如何とする、我れ今日露人の罪を鳴らし一戰其南下の鋒を折らは露人は退て内政の煩に疲痛し容易に東洋を侵畧せさるべし露人南下の勢挫けんか、滿州素より安全なり滿州安全なれは韓半島自ら憂なし、而して山東の獨乙は孤力とならん、孤力の獨乙は遂に英米の商業侵畧策を凌くを許ささる也、論者の曰く、今若し日露の戰をトせは其勝算或は日本にあるべし、日本にして卽ち勝を奏せん乎、其日本の得る處、韓國利權の大部と滿州樺太の土壤とにあるか、韓の利權は日本の既得權にあり必しも戰ふを要せす、滿州樺太の土壤は之れを得るも日本の國力其經營の煩に堪へさるべし、而して英米獨佛は戰後の創傷に乘し、相競ふて各其利權を進むることを謀らん、就中獨乙に至りては其爲る所殆んと將さに測るべからさるものあらん、國力を〓して戰を開き列强の爲めに利權を分賦して、我か得る。所のものは其失ふ所の者と相償はすと此種の諸說は盖し皮相を知りて肺腑を察せさる小康者の取る所、我れ更に之を辨せん一國の軍事は巷盜の筐笥を侵すの心を以て圖るべからす、一國の經濟は商估の財貨を求るの心を以て圖るべからず、利。害察すへく理義捨つべからす時あつてか理義に憑りて利害を顧みさる事ありと雖とも利害を察して理義に捨つる事ある二十一