四十二眼上の贅瘤庸醫は切りて之れ除かんと欲す、若し誤て其筋脈を斷せんか、或は將さに生命を損さん、倖に治するも、傷痕瘢々痛疼を忍ふの償に足らず、諸公の美顏未た必しも眼上の瘤あるなからずんばあらず、諸公の顔國家と亦た更に貴重すべし、其瘤あるを以て庸醫の治に傚はさる者。諸公の諸公たる所以にして、眼上の贅瘤藩閥の元老たる者亦た未た必しも諸公の頑師たらさる無きを知らす、諸公の元老を處せしは其巧術餘りあり、吾徒は更に瘤の諸公を病ましめさりしを慶し其勞を多となす、步は江を渉る可からす、視は壁を透す可からず、吾徒何そ諸公の秘密を知るを得ん、又た何そ必しも之を知るを要せんや、乃ち吾徒は諸公の秘密を知らさるを德とするを以て、今ま之れを言談せず、唯た挽近東洋局面の推移を見て、諸公の對露方針如何を默了せしこと數次にして己ます、蓋し諸公の其事務を處するに於て、新猛ならさるの憾あるもの、或は是れ前事の補繕を終るに苦しむ所なき歟を察するなり、諸公願くば玆に抅々たること勿れ、凡そ文武の有司內外の當に當り、各其職責に任し、其分を失はしめさる所以の者は、諸公之れに任して專且重からしめさる可からす、此に其廟謨の定まつて方向の動かさるもの存すれは有司の衝に當つて其職を盡す純一にして、諸公の廟堂に坐し、綱を引て事を處する、十指の其手に隨ふが如く爾らん、諸公の現今の事局を處する亦た爾く然らさるものなからんや、吾徒は諸公の討露に遲々たるを見て、是れを之れ疑はさるを得ず、諸公は實に皇上の親任に憑り、大政を憲法の範圍に幹せり、元老何そ諸公に加へん、一國の輿論欝積して討露の一日も早か四十三