Info:ndljp/pid/1134657/7

提供: TranscribeJP
移動: 案内検索


<trjpft> 「日本剣豪列伝」: 前頁 | 次頁 近代デジタルライブラリーの当該頁へ <astyle><gstyle>新旧字混在</gstyle><kstyle>仮名遣い混在</kstyle><tstyle>Wikiのみ</tstyle></astyle> </trjpft> 山岡鐵舟の卷

山岡靜山の槍

 幕末で、槍をもたせては日本一。槍一本で、伊勢守となり、幕府の遊撃隊長として一代の名人と稱された高橋伊勢守泥舟。その兄が、山岡靜山。僅かに二十七歳で、早死したが、その槍術の技にかけては、弟よりも天才的で、当時海內無双と稱されてゐた南里紀介と、勝負して、四時間に亘つて爭ひ、遂に勝負がつかなかつたといふ人である。  四時間の大試合、二人が、槍を引いた時に、二人の槍の頭は、まるで、ささらのやうになつてゐて、一寸餘りも短かつたといふから、凄いものである。  午前の二時に起き出て、道場へ入つて、重さ十五斤の槍をとつて、縱橫に突きを試みる事、千囘づつ、時には、三千囘、五千囘—時には、夕方より、曉に及んで、三萬囘に達した事さへあるといふから、その精勵ぶりは、常人の及ぶ所ではない。  安政二年六月—槍を振つてゐたが、いつものやうに、汗が出ない上に、ひどく顏色が惡いの