Info:ndljp/pid/933455/21

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代または隋や唐あたりの近代になつてからもたくさんある。唐の有名な則天武后の新字の如きもクニの字の圀ぐらゐは殘つて居るがその他の奇字は大抵その時代限りで死字となつて了つた。地の字を[#「山+水+土」、20-3]となすものが稀にあるがこれもその武后の新字の名殘りである。宋から元にかけての問には北方や西方に種々の新字の制定があつた。契丹《きつたん》とか女眞《じょしん》とか西夏とかの異様の文字が卽ちそれである。中でも女眞の大字と小字、また西夏文字の如きは阈の滅亡と共に跡なく亡びて了つた。今日支那の河南省や朝鮮の北成の碑にまた居庸關の刻文や朝鮮李王家の寶鏡背面にその名殘りを留めて居るのを見るがこれらは全然死字となつて了つたものである。かくの如く文字の一部分又は全體が死狨し用途の少ない文字は長い時代の問にいつしか淘汰されて了ふのである。文字政策で一時的の强行をなさうとしても自然の大勢には勝てない。自然界の現象、生物界の原則は文字界にも矢張り窺はれる。適者は榮え不適者は減ぶ。適せる文字は「著」から着を出し「荼」から茶を出し「奉」から捧を出してゐると云ふやうに增殖して行く。又人カ車が俥となり海里が浬となる。されば各時代には一方に死字の出來ると同時に他方に新字新形が出來て玆に文字の優勝劣敗が行はれて行くのである。

[#5字下げ]五 略字を擁護すべし[#「五 略字を擁護すべし」は中見出し]  古來各時代を通じて見ると文字の新陳代謝は意外に多く行はれてゐる。殊にその新形の出來又新字の出來ると云ふことは社會の背景に常に支配せられてぬるのである。國に納むる所のみつき(貢)もの

<trjpft> 「文字の起源」: 前頁 | 次頁 近代デジタルライブラリーの当該頁へ <astyle><gstyle>新旧字混在</gstyle><kstyle>旧仮名</kstyle><tstyle>青空</tstyle></astyle> </trjpft>