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五、印刷の準備
 
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さて此れまで手筈が運んで来ましたから此次は活版
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2014年1月23日 (木) 12:29時点における版

の人で岩橋萬蔵と云ふ人に相談をし、岩橋より又、大 坂の千種屋と云ふ紳商の平瀬安兵衛に相談して、其の 平瀬が金主となつて、略ぼ事業の基礎だけは成り立ちま した、

さて計画か成り立つたに就いては、社長も要る、事務 所も要るから、此の藏経開版の事務所を「弘教書院」と 名づけ、…之は私が名けたのです…山東直砥を社 長に仰いで、事務萬般の整理に着手しました。

ですから、最初の計画はまあ是だけの人数であつた ので。それから後には随分種々の人も入つて来ました、 勿論私共などは、藏経の開版せらるるのを主として望 んだのであるが、また多少、其間に利潤を望んだ人も ある處から、自然面白くない人物もあり、面倒なことを 云つたものもあつて、種々の変動もありましたが、兎 に角、始から終まで継続して、弘教書院の為に努力し たのは、

稻田 佐吉  色川 誠一  山内 瑞圓

山東 直砥  島田蕃根

の五人でした、其中でも、一番効績のあつたのは、山 東と、色川の両人です、

五、印刷の準備

さて此れまで手筈が運んで来ましたから此次は活版 の方を準備せんければならぬ、何にしても、彼の時代 ですから、完全な活版屋はないので、京橋元数寄屋町 四丁目二番地に、稻田所有の活版所があつた、それを 弘教書院活版所と名けて、此處で印刷することとなりま した、併し、之も暫くの間で、後には、印刷の全部を、 大蔵省の印刷局へ廻すことにしましたが、兎に角、最初 は、そこで印刷する積りであつたのです、

 次には紙、紙も土佐国へ注文しまして、全部あちら から取り寄せたのです、明治始まつて以来の大部の出 版ですから、紙も大分買ひました、

 序に云つて置きますが、實に此の前後に於るる色川 の盡力は大層なもので殊に豫約募集等に対する奔走は 非常なものでした豫約のことも、私は善く知りませんが、 何でも、最初百二十圓の積りであつたのですが、其の



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