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第十四回冷熱忽に變じて鳥居が得心百四十二丁

第十五回偽盲に敵を釣寄たる生田の復讐百五十六丁

第十六回島田高力の立身に徳兵衛の身の上百七十六丁

第十七回懺悔の自害に心を籠たる淸月院の書置百八十一丁

第十八回義士美人を伴ひて八重の潮路に入る百九十三丁

天竺徳兵衛 櫻癡居士著作

第一回 品川の片辺にて主従面会 秋の末の習ひとて俄に降來る村雨に風さへ北に吹変り磯打波の音荒き品川村の詫住居、その主人は未だ六十に足らぬ齢なれど積る辛苦の重なりて胸の關路の塞がりてやよするに慣れし眉の皺、圍爐裏の内に燃残る柴折りくべて唯一人物案じ顔して居たりしハ何人かハ知らねども朝夕の烟を立かぬる程とも見えず柄糸の切れたる大小を忍ぶ昔の形見とて今に手側の壁に立掛たるにて武士の果とハ知られたり。時しも元和八年九月二十三日の申の刻下りの頃なりけるが(午後四時)其頃ハ徳川家が江戸に幕府を定められし初なれバ品川あたりも明治の今日とハ違ひ旗店とても僅か三五軒ばかり庇を疎らに並べたる計にて其外ハ漁師の住家の所々に在りて海士の焚藻に夕烟を立しのみにて物凄しき秋の里なりき。折から編笠深く冠り葛の袴に褐の羽織大小十文字に指たる一個の武士、鎌髭造りたる下僕に <trjpft> 「天竺徳兵衛」: 前頁 | 次頁 近代デジタルライブラリーの当該頁へ <astyle><gstyle>新旧字混在</gstyle><kstyle>仮名遣い混在</kstyle><tstyle>Wikiのみ</tstyle></astyle> </trjpft>